肘の症状(前編)・肘の診断名について
肘の症状(前編)・肘の診断名について
今回は「肘の診断名」についての解説を書きたいと思います。診断名というのは、『ゴルフ肘』とか『テニス肘』とか
ああいう肘の症状の名前のことです。正直、個人的にはこの診断名というのは、あまり重要視しておりません。
なぜなら、大事な事は、実際に患者さんの肘をさわってみること。そして、どこの筋肉や靭帯、関節に硬さがあるのかを
知ること。ここから得られる情報こそが全てだと考えています。
でも、全く知らないのも問題で、実際に肘の症状で患者さんが来院されて、
『整形外科では、ゴルフ肘と言われました。ゴルフとか全然しないんですけどねー、、』
なんて、言われた時に、やっぱりある程度、ゴルフ肘についてどんなものなのかを知っている方がいいでしょう。
『ゴルフ肘?何ですかそれは、、』というよりは『ああ、ゴルフ肘ですか、それじゃあ肘の内側に痛みでもあるのですか?』
という方が、その後の施術もスムーズだと思います。
というわけで、ざっくりとしてですが、肘の診断名別解説を前編・後編に分けてお伝えしたいと思います。
ゴルフ肘やテニス肘、よく聞く名前だけど、実は今いちどういう状態か分かんないんだよなー
という方必見の内容になっています。
肘の痛み診断名(前編)
・肘部管症候群
・野球肘
・肘内障
まず今回はこの3つ。順番に行ってみましょう。
<1>肘部管症候群
なにやら小難しい雰囲気のこれ。ちゅうぶかんしょうこうぐん。尺骨神経にトラブルがおきて、
小指や薬指にしびれなどの神経症状がでるやつですね。ちなみにしびれの患者さんは整体より先に
整形外科に行っている事が多く、そこで治らないから整体を試す、というパターンが多いです。
あと、整形では、しびれに対してビタミン剤が処方されることが多いですが、これでしびれが良くなったという話は
あまり聞いたことはありません。施術するうえでは尺骨神経が骨のどこを走っているのか、周辺の筋肉は何か
要チェックですね。尺骨神経は肘をぶつけた時に、腕にビリっとくるあのヤツです。
だからしびれも小指や薬指側に出ています。
<2>野球肘
成長期に、ボールなどを投げる動作の時に、肘に痛みがでるやつです。痛みは壊れ方によってあちこちに出ます。
あちこちに出るので、一概に野球肘ならここが痛いと決めつけれないやつです。
後編に出てくるテニス肘やゴルフ肘との違いは、
・成長期に伴うもの
・投球動作に伴う損傷(テニス肘・ゴルフ肘は投球の動作ではなく回内・回外の動作)
<3>肘内障
これは、小さな子供に起こる肘の症状です。読み方はちゅうないしょうと言います。
手を引っ張られた拍子に橈骨頭が輪状靭帯からずれてしまうやつですね。5歳くらいまでの子が、肘や肩が痛くて泣いている
というような問い合わせがあれば、これだと疑ってください。一度、肘内障を経験した子はくり返しますので、
問い合わせの時点で『そちらでは肘内障は治療できますか?』という事をいきなり聞かれるかもしれません。
親御さんも状態について、けっこう把握している事も多く、ダイレクトに言ってきます。
まとめ
前編では、まず代表的な肘の症状を3つ紹介してきました。次回の後編では、
・テニス肘
・ゴルフ肘
・橈骨神経麻痺
・変形性肘関節症
あたりについてお伝えしたいと思います。
認定講師:森鎌 丈雄