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【整体技術】ばね指の解剖学的所見と施術ポイント&施術順番

今回は「重症なばね指」の施術ポイントについて伝えます。

  • 手術を選択された場合のお客様のリスク
  • バネ指の治療で外せない「前腕の施術ポイント」

という点で、施術だけでなくお客様への説明にも役立つ内容になっています。

ばね指:症例

お客様は、40代の男性です。

半年前に「第三指のバネ指」と診断され来院。整体院、鍼灸整骨院、整形外科とまわるも改善せず、当院に来院。バネ指も程度によってそれぞれで、ただ引っかかるだけという人もいれば、引っかかって戻す時に痛みを伴う人もいます。

この方の場合、引っかかる時も戻す時も、痛みがどんどん増してきて、いよいよ手術に踏み切ろうかと考えていたそうです。

ちなみにバネ指は、手術自体は難しいものではありません。うまくいけば治療院に何回も通うより、ずっと負担が少なくて済むと思います。

ところが、何割かの人には術後の癒着がそもそもの「バネ指の症状」以上に悩みの種になってしまうことも
あるのです。「こんなことなら手術前の方がずっと良かった」という事も決して珍しくありません。

もちろん、癒着は起こりやすい人、起こりずらい人といて体質なども影響します。

ただ、手の場合、掌側を開くと予想以上に侵襲されてしまう事があるようです。そのため、手の外科を専門に
されている先生はオペ後にわざと完全屈曲位で固定し、腱と腱鞘の間での癒着ポイントをずらすことで、一番手指を使う肢位では、あまり影響が出ないようにしたりしています。

同じ手術という選択でも、やはり「専門の先生」にしてもらうことを、アドバイスできるといいですよね。

患部に触る前のチェックポイント

今回のお客様は、実際に触ってみて重症だと感じました。その理由は
・仰臥位になると仙骨が刺さるほど硬い
・肋骨のブラインドがハネあがり胸郭の動きに大幅な制限がある
・前腕がゴムのようにパンパンに硬い
・肘を屈曲しても同側の肩に手が着かない
・第三指だけでなく母指の可動まで硬い

患部の第三指と手関節だけ施術しても、間違いなく変わらないので、いつも通り、骨盤・脊柱・肋骨・肩甲骨
と施術してから上肢の施術に入りました。

前腕を徹底的に柔らかく!

浅指屈筋・深指屈筋の付着部を考えると、尺骨鉤状突起周辺の硬さ「ホネホネ感」が、手指の問題に影響を与えていることが想像できます。

また、前腕の骨間膜が柔らかくなっていることもとても重要です。前腕の回内・回外がスムーズで橈骨を尺側から押し込んだときに、回外方向へぐにゃ~っと沈むくらい柔らかいのが正解、という状態にする必要があるのです。

その状態が出来て初めて、手関節から先の効果が持続出来ます。

正しい手根管の作り方

バネ指に限らず、ドゥケルバンや手根管症候群でも、手根管を通る腱や神経血管が問題なくいられる状態を作らなければなりません。

そのためには、手根骨の歪みを戻すことが必須なのですが、以前私は「豆状骨」の存在を軽視していたために、苦戦したことがあります。

豆状骨は、三角骨に隣していて固まっていても比較的苦労なく動いてくれることが多いため、ちょっとナメていたのです。

解剖図を見てもらうとおわかりいただけると思いますが、手根管を構成する横手根靭帯(屈筋支帯)は大菱形骨結節と有鈎骨の鈎、そして豆状骨を支えにしたテントの様なものなので、豆状骨をしっかりとどの方向にも引っかからずに動ける状態をつくれないと、テントのテンションはおかしくなります。

この3つの骨の関係性をよくするためには、当然ですが、手根骨全ての調整が必要になります。

その際、一番最初に取りかかるべき重要な骨は「月状骨」です。

ばね指:施術の順番

月状骨

構造を治すための施術は、基本的には、より中枢からより正中から行っていくと、効率がよく効果も持続しやすいので、手根骨でいうと月状骨になります。

月状骨は、橈骨遠位端の関節面に隠れていることが多いので、しっかりと特定出来て、触れるようになる必要があります。

指節間関節(MP関節)

月状骨に始まり、全ての手根骨を隣接する骨同士が互いに引っかかることなく動ける状態にしたら、いよいよ指節間関節の施術に入ります。

バネ指は屈曲することで、引っかかるので屈曲制限に対しては、なんとかしようと努力されると思いますが、伸展(背屈)方向に関して意識がいっている方は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか?

第三指のMP関節は、自動運動で背屈45度の可動域をもっていて、他動では80~90度まで背屈できるアソビがあるのが正しい状態です。

腱鞘炎にしろバネ指にしろ、ほとんどのお客様が、この背屈へのアソビの消失と可動制限があります。この背屈制限を解除し、アソビを取り戻すと、引っかかり方に大幅に改善が見られます。

以前、片平から「指の状態に対応出来るようになったら本物だよ」という言葉を聞いたことがありましたが、
今回はつくづくその言葉の意味を痛感しました。

今回のバネ指のお客様は、一通り施術した後で手を握って開いてと確認すると、1回は引っかからずにスムーズに動かせるのですが、2回目からまたガツンと引っかかるというところで、なかなか進展せずかなり苦戦しました。

関節の口をしっかりと開いて落とし込むという操作を意識してきたつもりでしたが、コンタクトする際の「厳しさ」が足りていなかったのです。

中手骨頭と基節骨基部の裂隙にある関節面をしっかりと捉えて、操作をかけると握って開いてをしても、引っかかることなく動かせるようになります。

関節包内の運動を目的とした手技は、これまでにも学んできましたが、パーフェクト整体は、コンタクトポイントのほんの少しの違いによって、症状の変化がここまで変わってくるのかと驚かされます。改めて「奥が深いなぁ」と感じました。

ちなみにMP関節の可動域が改善されると、肩こりの辛い症状も改善されることが多いです。お使いの手技で、しっかりとほぐして可動域を改善させてあげるととても喜ばれるでしょう。

また、手指の施術は、細かいところまでしっかり診てくれる治療院は、まだまだ少ないと思うので、そういったところで対応出来るようになると、他院との差別化にも繋がると思います。

手指の施術法が紹介されてるのは下記PDFですので、手の施術でお悩みの方にはオススメです。
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PDFシリーズ「腱鞘炎」 販売ページ

この記事は、旧認定講師の記事を転記したものです。文責:片平悦子

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